「靴を作るが靴職人と呼ばれるのはちょっと・・・」つくりて野島と新人マキコのブログ

京都の手作り靴工房「吉靴房」で毎日手作りで靴を作る日々。 そして靴以外にも好きなものがあり、製作の合間の出来事も赤裸々に綴っていきます。 基本的にインドアなので、漫画、ゲーム、歴史、科学などなど。 靴作りと好きなことを中心に毎日更新します。 このブログは靴のつくりて野島とこれから初めて靴作りを学ぶ新人マキコの2人でお届けします。

タグ:単皮

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『お知らせ』

現在のオーダーメイド完成予定時期は
2023年4月末完成、2023年5月初旬お届け予定となっております。
お時間いただき申し訳ございませんがどうぞよろしくお願いいたします。

オーダー方法についてはこちらをご覧くださいませ。
http://kikkabo.livedoor.blog/archives/cat_323072.html


靴磨きも承っております。是非ご利用くださいませ。
http://kikkabo.livedoor.blog/archives/22615170.html
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こんばんは。野島です。

久しぶりに「吉靴房への道」の更新です。

今までの①〜⑨はこちら↓

http://kikkabo.livedoor.blog/archives/cat_422586.html




SOU・SOUさんとはもう十数年のお付き合いをさせていただいております。
実はヴィーナスフォートのSOU・SOU初店舗のオープン間も無く(京都に店舗がない頃)僕がまだ東京在住時に行ったことがあり、
独立前から「日本の革靴」をテーマにしようと検討中だった僕は

“ついにこういう素敵なお店が出てきたなぁ。“
“革靴をスタートしないで欲しい!“
“東京の会社なのかなぁ“
とか思いながらお店を後にしたのを覚えています。




数年後京都に来て3年目に今の場所に工房を引っ越しして間もなくの頃、革靴寺子屋の生徒さんからSOU・SOUさんのお話を聞きました。
当時その方は建築家の辻村さんの事務所でインターンをしている大学生でした。


実は辻村さんともご縁がありまして・・・
僕の叔父に野嶋信夫という陶芸家がいまして辻村さんのデザインした飲食店の食器を作っていました。



ご縁ってあるものだなあと思いながら、早速自転車で四条河原町まで行きSOU・SOUさんの足袋のお店に入りました。
まだ着衣ができたばかり、傾衣はなく地下に作務衣というお店があった頃です。


すごく素敵で納得できるコンセプトと商品とお店だったので、早速アポイントを取りたいと思っていたのですが、何の下調べもなく来ていたので挙動不審にキョロキョロしていたら足袋店長の中岡さんが話しかけてくださいました。
そこで正直に代表の方も全く知らずにここに来たこと。吉靴房という革靴屋をしていること。一度お話を伺いたいとのことをお伝えしました。


名刺を渡して後日SOU・SOUさんからご連絡をいただきました。

社長が「御沓(おくつ)」というデザインが見たいとのこと。
なんと当時の吉靴房のサイトを隈無くご覧くださり、その中で御沓が見たいとおっしゃっていただきました。



初めての打ち合わせ当日。
若林社長ともう退社されましたが当時の企画の方とお話しさせていただきました。


なんか気に触ることでもしてしまったかなと思うほど、最初特に企画の方から圧力を感じましたが若林社長から
「いろいろな靴屋さんからアプローチはあったけど、日本の歴史に視点を向けているところが無かった。ここに気づいたことがあなたの才能だ。」
と言っていただき業界関係者から辛辣な言葉しか貰ってこなかった数年間だったのでとても嬉しかったことを覚えています。

地下足袋のことを革靴とは全く違う履物であるという話を強くしすぎてしまったかなと反省しておりますが、足袋型の革靴用の靴型を作り始めていたところだったのでこういうものを作ろうと思っているという話や現状のオーダー状況、仕事のスタンス、コンセプトなど将来に繋がるお話をここでディスカッションさせていただきました。


ちょうどSOU・SOU傾衣の立ち上げ準備をされていたタイミングだったようで、地下足袋より少しフォーマルな雰囲気を出せる履物が欲しいと考えられていたそうです。
その頃出来上がった風靡を着させていただき、絶対にこのブランドは成功すると感じました。




2回目の打ち合わせで御沓の最終調整をして、SOU・SOU×吉靴房第一弾としてスタートしました。

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とにかく僕はビジネスの知識も経験も足りなくて若林さんとお話しさせていただくことで大変勉強させていただきました。
その後辻村さんや脇坂さんにもお会いさせていただき一流の凄さと柔らかさを体感しました。




足袋の靴型ができたので「単皮(たび)」そして「踵単皮(あくとたび)」のサンプルをご覧いただき第2弾として単皮をスタートしました。

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若林さんに薦められて出展してみた御沓と単皮は京都デザイン賞で入賞することができました。
全くデザインの勉強などしたことがなかった僕にとってとても感慨深い賞でした。


当時からの様子を知っておられるSOU・SOUのスタッフさんは少なくなりましたが、今もとても良くしてくださり素敵な関係性のもと仕事をさせていただいております。ありがとうございます!


履物は単体では存在意義がほとんど無くなります。裸で靴だけっておかしいですよね。
体に纏う服があるからこそ靴は存在意義が発揮されます。

そう言った意味でもSOU・SOUさんには大変感謝しております。




吉靴房への道はここまで。
全部読んでいただきましてありがとうございました。

僕は仕事のペースも変化のペースも遅いですが、懸命に履物作りを続けますのでどうか今後とも応援していただければ幸いです。



それではまた明日。



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革靴寺子屋生徒募集


吉靴房で革靴や革製品を手作りしてみませんか。

型紙、革の裁断、ミシン、釣り込みなど全ての工程を、
ものづくりが初めての方も楽しく作ることができます。

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進み具合は生徒さんそれぞれ全員違いますが、
スタッフ一同で全力でサポートいたします。

ちょっと興味あるかなという方から、
本格的に学びたい方までお問い合わせお待ちしております。

http://kikkabo.livedoor.blog/archives/15633049.html

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075-414-0121
nojima@kikkabo.jp


副業で夜にアルバイトをしてみたいという方もおられましたらご連絡ください。
(募集締め切られせていただきました。また募集するかもしれませんがご検討いただいた方には申し訳ありません。)

お問い合わせは野島まで。よろしくお願いします。
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吉靴房では足の採寸を広める活動をしていきます。
靴や足に関わる同業者の方、整体の先生、
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靴下屋さんなどなど
ご興味ある方はご一報くださいませ。

nojima@kikkabo.jp
075-414-0121

どうぞよろしくお願いします。
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こんばんは。野島です。


現状できる限りのことをして、4.5cmヒールの踵単皮が完成しました。

まだヒールデザインの名前、総称というべきものが決まっていませんが、候補はあるので、近々発表できると思います。




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以前婦人靴メーカーに勤めていた経験をフル投入して完成させることができました。鍛え上げてくださった先輩方、職人さん方に感謝しています。
浅草で勤めていたメーカーとお取引があった各種材料屋さんにも大変お世話になりました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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こちらは踵単皮です。
新作の方はいろいろ考えた結果、今回は踏みつけ踵部分を無しにしてみました。これはご要望がありましたらお付けできます。
画像で比べるとわかると思いますが、ヒールタイプの方が若干浅くしました。
並べないとわからないくらいにしたつもりです。

デザインバランスと履き心地を考慮した結果これがベストと思う深さにしました。




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ひとまずスタッフの宇都宮にモデルをしてもらいましたが、また写真は取り直す予定です。
SOU・SOUのスタッフさんに是非とも協力していただきたい!



お着物にも合わせたいですね。着物でお越し頂いたお客様にお願いすることもあると思います。気が向いたらOKしてくださると喜びます。よろしくお願いいたします。










今日は教室でも足袋型が完成しました。
単皮の濡羽色単色です。

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もう何足も足袋型で製作されている生徒さんで、素晴らしい出来栄えです。
今日の教室でも話しましたが、釣り込みのセンスがとても良い方です。今後も楽しみです!


























今日は単皮(たび)の解説をしたいと思います。
こんばんは。野島です。




この商品は2011年京都デザイン賞SOU・SOUさんとのダブルネーム作品として出展し、入選いたしました。
当時まだまだ足袋の革靴なんて誰が買うの??なんてコメントをたくさんもらっていた頃だったので、入選という栄誉をいただきとても嬉しかったことを覚えています。




胡粉色
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この靴に「単皮」と名付けたのは
①足袋型であること
②革製であること
③靴の基本要素を備えていること
以上の理由からです。





日本だからこそ誕生すべきデザインは何かと考えたとき、地下足袋と革靴を融合させることでこれまでになかった形が出来上がりました。


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靴の定義をあえて語れば、足を包む形で歩行に使う道具であり、靴底を備えていること。
爪先と踵と踏まず部に芯が入っているものを言います。
その中で最もフォーマルなものは黒の内羽根と呼ばれる短靴です。





足袋とは草履、下駄、雪駄などを履く際に用いるため、親指と人差し指で袋が二つに分かれているものを言います。

今では布製がほとんどですが、江戸時代初期までは革製が主でした。
「皮足袋」は武士を中心に合戦や鷹狩りなどに履かれていましたが、戦乱が収まるにつれて平時でも着用されるようになりました。


布製の普及で姿を消してしまいましたが、革靴屋こそが「革足袋」を作るべきだと思い製作しました。





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紐通し部分は五枚丈のところでも解説したわらじから着想を得た形状をしています。






靴の一番基本型といえる内羽根短靴と足袋の要素を兼ね備えたこの作品は、
伝統に新しい正装を提案したいという僕の出すぎた行為の第一歩というべきデザインです。






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おまけ


足袋を調べてみると、文献上平安時代から見ることができます。
その漢字は

「単皮」
「多鼻」
「旅」
「踏皮」
「足袋」

とたくさんあります。




日本人にとって身近で大切なモノであるとあらためて感じました。













いかがでしたでしょうか。
多鼻と書いた人はなかなか面白い発想を持ってるなと思いました。


是非一度「単皮」お試しください。


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