「靴を作るが靴職人と呼ばれるのはちょっと・・・」つくりて野島と新人マキコのブログ

京都の手作り靴工房「吉靴房」で毎日手作りで靴を作る日々。 そして靴以外にも好きなものがあり、製作の合間の出来事も赤裸々に綴っていきます。 基本的にインドアなので、漫画、ゲーム、歴史、科学などなど。 靴作りと好きなことを中心に毎日更新します。 このブログは靴のつくりて野島とこれから初めて靴作りを学ぶ新人マキコの2人でお届けします。

タグ:モカシン

こんばんは。野島です。

モカシンという靴をご存知の方は多いと思います。靴の構造のことを指す場合と、スタイルというか形状を指す場合とありますが、足全体をくるんだ靴の起源とされています。

1万4000年前に現れたとする説もあるほど古くからありますが、最も有名なものはネイティブアメリカンのモカシンではないかなと思います。





基本的に足を一枚の革でくるむ袋状の構造になっていて、フリンジやビーズなどで装飾を施し、いろいろな用途で使われていました。現在も使われていると思います。





一枚でくるむ形状ということに着目し、機械では作れないであろう形を目指して作ったのが「ひとえモカ」です。ひとえは正に一枚の革を表しています。



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爪先から踵まで完全に一枚で、縫い目は踵の縫い割りのみで構成されているブーツは、世の中にほとんどないと思います。
手仕事だからこそできる珍しい形です。



踵部に手縫いで縫い付けてある部分は、踵の保護と履き心地の向上を目的として革で、月型(かかと芯)の役割があります。




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普段吉靴房で使っているメインの素材より1mm以上厚い、約2.6mmの分厚く硬い革で作ってあります。




この靴を作った時のキャッチコピーは「育てる靴」


わざと分厚く硬い革を使い、最初は本当に硬くてたまに痛いこともあるほどです。しかし、ミンクオイルを塗りこみながら少しずつ使っていただくとしなやかで柔らかい本当に履き心地が良くなる革を使っています。



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この画像は僕が1年以上履いたものです。ものすごく柔らかくなっていますので、工房にお越しいただいたら是非ご覧頂きたいものです。

確かにお時間がかかりますが、その分愛着がわくこと間違いなしです。


本体(アッパー)が硬い分、柔らかいインソールを標準装備しています。







それともうひとつ、先ほどのたくさん履いた靴の画像は爪先に飾りがついています。
これは「ひとえモカ先オパ」というデザインです。



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先オパの先は爪先、オパは靴の製法のひとつで、オパンカやオパンケと呼ばれる製法をモデルに掬い縫いをしています。

印象が変わって爪先も更に保護してくれるのでこちらも人気です。




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完全に単色で作るのもかっこいいですね。
こちらはアメリカ人のタトゥアーティストの方が来日してご注文くださった作品です。





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掬い針でこのように穴を開けてから


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このように縫っていきます。

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ほんの少しのミスで一から作り直しになってしまう作業なので緊張感があります。



「ひとえモカ」と「ひとえモカ先オパ」是非手にとってご覧くださいませ。




こんばんは、野島です。

吉靴房のHPに「楽しいシコウ」のポストカードやブログのリンク先など追加しました。
今後もこのブログと連携しながらより詳しくわかりやすくなるようにしていきたいと思います。





今回は吉靴房を立ち上げる前に靴の事をよくわからない状態で作った靴などを恥ずかしながら紹介していきたいと思います。




まずはこちら

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まだ靴型を持っていなかった頃に、昔の人は靴型なんか無い状態で履物を作っていたんだよな~なんて思いながら、自分の足を測って靴型を使わずに無理やり作った靴です。



手縫いもよくわかってなかったので、手縫いの鞄の作り方の本を読んで、材料を東急ハンズで買って作りました。




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とにかく立体にすることが難しくて、ヌメ革を濡らして成形して立ち上げて縫い付けるという作り方をしたと思います。



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このソールは素材が超硬いゴム製で、実はトップリフトと呼ばれるヒールに取り付けるゴムを知らずに使っていました。笑










次はこちら

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この鞄はヌメ革の濡らして成形することが面白くて形にしたのを覚えています。
生地を革に貼って使うのもこの頃から挑戦しています。









次はこちら

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これは手縫いのモカシンを作ってみたくて製作しました。
これも靴型を使わずに立体にすることに挑戦した靴ですね。
中底から繋がる爪先と踵を立ち上げた部分にアッパーを縫い合わせて作りました。







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この靴は手縫いマッケイと言えばいいのかな。底縫いを何も見ずにイメージだけでやってみた作品です。
踵部は縫い割りするのであればそれを活かしたいという形状にしたのを覚えています。





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ヒール周りはペイスと呼ばれる木クギを使って留めています。ヒールも我ながらなんでこの形にしたのかわからないですが、独特の形状をしていますね。







最後はこちら
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今のラウンド型を作って初めてハンドソーンウェルト製法で作った外羽根です。

ウエルトに麻の生地をいっしょに縫い付けたと思います。
こんなことしても作れちゃったりするかな~なんて実験的なことをしていたような気がします。


ミシンもこの頃から使い始めました。






20年前くらいに作った作品達。
今となってはなんでこんなものを作ったのか思い出せない部分もありますが、靴型を使わないとか、手縫いの応用とか、生地をどう使うのがいいのかなど、今に繋がる実験的なことをしていました。



当時の前向きな気持ちを忘れずに今後もより良いものを作ってお客様にお届けできるよう前向きにがんばっていこうと思います。













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