「靴を作るが靴職人と呼ばれるのはちょっと・・・」つくりて野島と新人マキコのブログ

京都の手作り靴工房「吉靴房」で毎日手作りで靴を作る日々。 そして靴以外にも好きなものがあり、製作の合間の出来事も赤裸々に綴っていきます。 基本的にインドアなので、漫画、ゲーム、歴史、科学などなど。 靴作りと好きなことを中心に毎日更新します。 このブログは靴のつくりて野島とこれから初めて靴作りを学ぶ新人マキコの2人でお届けします。

タグ:ファッション

こんばんは。野島です。



先日ふとテレビをつけたときに、Eテレで放送中の「又吉直樹のヘウレーカ!」という番組で人はなぜ服を着るのかという話題でした。


吉靴房は革で履物を製作し、お客様に提供する仕事です。
ファッションにも健康にも関わる重要な仕事をさせていただいていると思って取り組んでいます。


もともと歴史を調べるのが趣味である僕はなるほどと思いながら番組を拝見しました。



ご出演されていた先生によると、
●今の人類は700万年前に誕生し、17万年前には服に相当するものを着ていたとのこと。

ちょっと情報を整理してみたいと思います。



700万年前 これは人亜族とチンパンジー亜族と分岐したと推定されている時代
400万年前 アウストラロピテクス
250万年前 ヒト族誕生
120万年前 体毛が薄くなってきたことがわかっている時代
 30~20万年前 現生人類がアフリカで誕生


こう見ると元々かなり長い間服を着ていない状態。つまり全身に体毛があって必要としていなかったということがわかります。



一説にはホモサピエンスが生き残った理由は、長距離を走ることができたからであるとのこと。

体毛が減っていく代わりに発汗機能であったり、皮膚呼吸機能などが進化して狩りの成功率が上がったと考えると興味深いですね。
道具を開発したのも、同時期のほかの人類と比べて身体能力が劣っていたためとの説もあります。そのあたりもとても興味があります。




ちなみに現存する生物のうち約90%がやく20~10万年前に誕生したという説もあります。
2018年5月、米ロックフェラー大学のマーク・ストークル氏とスイス・バーゼル大学のデービッド・セイラー氏の研究チームの学説です。




本当にこのような超突然変異時期がここに集中していたとしたら、衣類を纏う人類も何か大きなきっかけがこの時代にあったと考えても不思議ではないと思います。






話を戻します。

「なぜ人類は服を着るのか」


答えは一つになかなか絞ることができませんが、

●中東や暑い地域では猛烈な暑さから身を守る為
●ヨーロッパ周辺では寒さから身を守る為
●氷河期が来た為、寒さ対策が必要だった
●病気や怪我などにならないようにする為
●護符などの役割
●自分の所属を明らかにする為



このように少し考えただけでもいくつかの理由が考えられます。


上記の理由を一応纏めてみると、僕はこのように考えます。

「人間は外部から様々な影響を受ける為衣類を纏うようになった。
それは地域で異なり、その結果自身の所属を伝える役割も持つようになった」




その結果、
「何かから守る衣類からファッションに進化した」

このように考えられます。


暑い地域はヒラヒラした衣類を纏い、寒い地域は体にフィットするような衣装に進化したとも言えますね。
これは単に気温に対してのことだけではなく、その気候の影響を受けた宗教観なども考慮すべきだと思います。



ちなみに僕の考えでは、ヨーロッパの衣類の考え方は人中心。
日本の着物は素材中心に考えて製作されているからそれが形状に反映されていると思っています。



ファッションはなぜ必要なのか。これも明確にしておくのが大事と思います。
僕が考えるファッションとは、「関わる人や環境に対しての思いやりである」です。



流行などもある程度大事なことなのかなと思いますが、最も大事なのは文化の理解。
場面や周りに合った服装をすることが大事なことだと思います。

周りに何も関わっていなければ服を着る必要すらないからです。
でも人間は何かと関わりが全く無いという状況はありえないと思うので、これは言ってもあまり意味はなかったかもしれません。





ファッションに関わるものとして、日本人としてお客様の思いやりの一助になれるよう仕事をしていきたいと思います。




また今度履物や靴の歴史のことも書きたいと思います。





















昨日の日本代表の試合残念でしたが、むしろよく準優勝までいってくれたという気持ちです。
確かに3バックというか5バックのような相手の守備に2トップ気味の前半は中盤の2人がうまくかみ合ってなかった印象で、対応が遅れてしまいましたね。

でも相手のカタールはすごくいいチームでしたので、もやもやしながらも楽しく見れました。
今後に期待したいと思います。





さて「革下駄」のお話。
吉靴房の商品で一番メディアに取り上げていただいた商品なので、吉靴房を草履屋さんや下駄屋さんと思っていたお客様もいたほどでした。




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もう20年近く前になりますが、イギリスやイタリアのハンドメイドの靴を作ってみたくなり、東京浅草の婦人靴メーカーに就職してとにかく何でもいいから靴を作りたいとがむしゃらに勉強している中で、履物っていろいろあるんだなと気がつきました。


自分でデザインして手作りして履いていただく。そんなことを夢見ていたのですが、そもそもデザインとは一体なんだろう・・・
靴とは一体なんだろう・・・
履物とは・・・
そんなことをそれこそ毎日毎晩一年中考えながら仕事と勉強をしていました。



そんな頃ある人に、「デザインは思いやりだよ」とその方の師匠の受け売りの言葉を聞き、なるほどな~と思ってその言葉の意味をしばらく考えていました。




思いやりは他人の心情や身の上などに気を配ったり、その気持ちをさす。









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わかるし、共感するし、反論したいわけではないけど、なんか足りないような気がする。。。




そんな考えを持ち、結果 ↓

「全局面的思いやりを作る物に反映」すればいいのではと考えるようになりました。



履物という道具を作って使ってもらうときの全局面とは、
履き心地、見た目、全体のバランス、製作過程、経験、知識、下地、ファッションとしての効果、素材、思想、気候などなど。




この全てに自分の持てる技術と経験と感覚を注ぎ込んで作る。
そう思ったときに、自分が本当に知っていることはイギリスでもイタリアでもない。。。
日本での生活、静岡県藤枝市での生活、好きで本を読みまくっていた日本史にかかわること、そして剣道なのだから、まずは日本の伝統的な形でもっとも好きな草履と下駄を自分なりに作りたいとの思いにいたりました。




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そしてもうひとつ、僕の中でとても大事にしていることである、全てが「定番」となること。
時代や流行に左右されない10年経っても20年経ってもその魅力が変わらないもの。

そんなデザインを作りたいという心意気が革下駄に自分なりにこめられています。







革下駄の実際の製法や形状などの解説は次回に!







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