30年前のバレンタインデーにチョコを女の子にもらって、「あんたなんかにあげたくなんてないんだからね!」と言われ、当時はなんでそんな言われ方したんだろうと謎でしたが、ツンデレという言葉を知り納得した野島です。




毎日更新するなかで、吉靴房のデザインについて各製品の解説をしていきたいと考えるようになりました。実は10年以上自分の作品の解説をすることに照れがあり避けてきたのですが、何でもこのブログに書くと決めて取り掛かっているので避けては通れないという思いにいたりました。






今日は「五枚丈(ごまいたけ)」というデザインです。

日本をテーマに革靴を作る。このことを考えたとき、地下足袋がまず頭に浮かびました。
地下足袋を改めて解説しますと、
「甲を丈夫な布、底をゴムで作った、直接地面の上で用いる労働用の足袋のこと。
本来の意味から直足袋と総称する時期もあったが、今日では地下足袋が一般的である。
日本独自の履物で、母指が分かれているので踏ん張れるという利点があり、建設現場や高所での作業で欠かせない履物となっている」(百靴事典参照)




もはや説明は要らないほどの履物ですよね。
それほどこの形は名前を言っただけで形状が頭に詳細に浮かぶデザインです。




そもそも足袋は鎌倉時代に革足袋が登場し、江戸時代に布の安定供給ができるようになり布足袋が普及し、その後コハゼ足袋となりました。

コハゼは足袋の踵側をひっかけるように留める金具のことですね。昔は鯨のヒゲを細工して作られていたそうです。


このコハゼは大発明だと思います。このコハゼが五枚使われた足袋の丈。
すなわち五枚コハゼの足袋をモデルに「五枚丈」を作りました。






P3029145





コハゼが4枚の足袋もわりと一般的だと思いますが、礼装などで5枚のタイプを使用するのがマナーになっているケースがあるようで、革靴というフォーマルな雰囲気を持ったアイテムでは5枚コハゼをイメージして作るのがいいかなと思って製作しました。





P7178436





吉靴房の五枚丈はコハゼは使いませんでした。
完全に足袋と同じような留め方ですと、革靴の硬さではイメージ通り足をホールドすることができなかったというのがひとつ。それと革靴である以上、甲もホールドしたいと考えたからです。




甲と踵を同時に締めて固定するのにはどうしたらいいものか・・・
実は何年も考えて考えて考えて・・・・・


ふとわらじを見たときにこうしたらいいのかあああああ!と繋がって現在の形状になりました。

P3199272




踵の紐通し部分の位置は5mm上でも下でもなんか収まりが悪くここでないといけません。
ここの位置に決まるまでに何度も作ったので僕の靴箱には中途半端な靴がたくさんあります。笑





P1030659




足袋は白が最初にイメージされる色だと思いますが、そもそも革の足袋が先に登場したということと、昔は別珍やコールテンなどで作られた赤や緑の色足袋がたくさんあったということで、どんな色でも問題なし!といろんな色で作っています。





このわらじから発想を得た紐の通し方は、全体にホールドできるという利点のほかにもう一つ、脱ぎ履きがとても楽になるという嬉しい誤算がありました。



踵部に紐がクロスして通っているのですが、そこの部分の革が開くことでブーツなのに足をズボっと入れる事ができます。





脱ぎ履きが非常に多い日本の事情にも対応できたことで、更に胸を張ってお客様にお勧めできる商品となりました。



是非一度お試しくださいませ。







他のデザインでこんなに書けるかな・・・・
次回もがんばります!