今回の商品解説は「御沓(おくつ)」についてです。


こんばんは。野島です。






くつを意味する漢字は元々は「履」でした。今でも草履として残っているのですが、靴という漢字が使われるようになったのはだいぶ最近のようです。この靴という字も諸説あると思うのですが、日本の場合は履物の全般を表す意味で、サンダルやミュールも意味としては含まれています。



吉靴房では靴は革靴に象徴されるような靴としてイメージしているので、教室単皮の記事で書いたように定義しています。







さて沓という漢字。
この「くつ」はくつや履物を表す意味のほかに、かさなる、かさなりあう、こみあうなどの意味があるようです。水という字がついているように元々は水が吹き出すとか水が吹き出し続けるというところから繰り返し続くという意味が転じて何度も繰り返し踏み続ける→踏むというように転じたところから「くつ」と読むようになったようです。
踏という字から想像してくつと読むようになったという説もあるようです。







「御沓」は神事に使われる浅沓や宮中で使われる烏皮履(うひり)や烏革履(くりかわのくつ)をモデルにデザインしました。




             浅沓
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          烏皮履(うひり)
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両方とも甲にクッションを入れて、引っ掛けるように履くタイプの履物です。
木を掘って漆塗りにしたものや、和紙を貼ってふのりを使って成形し漆塗りを施したものなどがあります。踵部分も非常に低く、足にフィットするような形状を目指したものではなく神事用です。






画像は大学時代の剣道部の先輩で千葉で神主をされている方に研究の為に譲っていただいたものです。
その節はありがとうございました。







沓の意味するところは先ほど書きましたが、神事に使われる沓が水と日で構成されているのは意味があるようにも思えます。







浅沓や烏皮履(うひり)を現代の生活環境に合わせ、履き心地を優先した形にしたいと目指した靴が「御沓」です。


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こちらは吉靴房×SOU・SOU作品として出展した2010年の京都デザイン賞に入選いたしました。





履き心地を重視するため、短靴の形状にし、紐で調節できるようにし、つま先は浅沓のようなボリュームをだし、昔の履物でよく見られる爪先が反りあがったイメージを重ね現在のデザインにたどり着きました。



着物に合う靴として最初にデザインした商品です。
着物のみならず、民族衣装のテイストを持ったデザインの服にも相性抜群だと思います。





是非お試しくださいませ。