「靴を作るが靴職人と呼ばれるのはちょっと・・・」つくりて野島と新人マキコのブログ

京都の手作り靴工房「吉靴房」で毎日手作りで靴を作る日々。 そして靴以外にも好きなものがあり、製作の合間の出来事も赤裸々に綴っていきます。 基本的にインドアなので、漫画、ゲーム、歴史、科学などなど。 靴作りと好きなことを中心に毎日更新します。 このブログは靴のつくりて野島とこれから初めて靴作りを学ぶ新人マキコの2人でお届けします。

タグ:ラウンド

こんばんは。野島です。


踵単皮(あくとたび)は吉靴房の履物の中でも僕自身が革下駄と並び、最も履いているのではと思うデザインです。

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(こちらはSOU・SOUさんでの新色の鉛色です)


このデザインはサボタイプの中でも甲がかなり深めのデザインとなっております。
足袋型のデザインはセンターで縫う形状なので、ここまで深く形作っても問題ないのですが、以前から足袋型ではなくラウンド型でできないかという要望を何度かいただいていました。



なかなか手がけていなかったのは単純に難しいからでした。



でもついに新作として作ることができました!


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長年踵単皮を作り続けてきて、手順や工程の最適化、さらにここをこうするとより良くなるというコツが少しずつですが積み上がることで問題なく作ることができました。



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全黒仕様もいい感じにできました。
黒の革は硬めに仕上がってくることが多いので釣り込みに注意が必要です。



脱ぎ履きがしやすいというのが一番の利点です。
あらゆるコーディネイトに対応できるデザインだと思います。いかがでしょうか。



それではまた明日。


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現在のオーダーメイド完成予定時期は
5月末完成、6月初旬お届け予定となっております。
どうぞよろしくお願いいたします。
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吉靴房では足の採寸を広める活動をしていきます。
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どうぞよろしくお願いします。
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こんばんは野島です。


教室の生徒さんがご自身で製作された靴で京都の寺社を巡り、「13,000歩も歩いたのに足に負担がが全然ないんですよ!」と超嬉しいご報告をしてくださいました。こういった感想をいただけると靴屋冥利に尽きます。ありがとうございます!






今日は吉靴房で使用している靴型についてのお話です。




吉靴房では現在4種類の靴型を使用しています。





●足袋型
●ラウンド型
●オブリーク型
●天先型





レザースニーカーの記事でも書きましたが、僕のこだわりのひとつで全ての商品を定番としたいというのがあります。




定番とは流行に左右されない基本的な商品ということになります。いつでもあることから台帳の番号が変わらないということからきた言葉ですね。








足袋型
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こちらは言わずと知れた日本の名作履物である足袋の形状です。
地下足袋との違いはあくまで革靴として作っていることです。地下足袋の起源としては足袋にゴムのソールをつけたところとなりますので、足袋のような全体のフィット感があります。

革靴と最も違う部分は「捨て寸」があるかないか。
捨て寸は足の爪先部分の前方に1cm~2cmほどの空間をいいます。
革靴は素材的に、そして先芯が入っているため爪先が硬いので、爪の辺りに密着しているとものすごく痛くなってしまいます。痛くならないように作った空間を捨て寸といいます。
書いていて気づきましたが、先芯のあるなしも大きな違いですね。








ラウンド型
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吉靴房立ち上げ前ですが、その頃から普段着と着物の両方に合うものが僕の靴作りのテーマでした。
その両方に合うというキーワードに必要だったのは適度なボリューム感。
シャープすぎると鋭い印象が出る上に、普段着や着物にボリューム負けしますし、適度なという部分である程度の可愛らしさを出したかったということ、フォーマルとデニムに合わせるにはどうするかを考えてこのような形状にしました。







オブリーク型
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ドイツの靴ブランドでよく見かける形状です。
人の足の形自体をデザインの元として作り上げた形です。
底はフラットに近い低寸で、爪先がゆったりした履き心地となっています。
畳の上で裸足で立ったときの開放感が感じられるような靴にしたいと思い作りました。





天先
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人類が辿ってきた履物の歴史で、どういうわけか世界中でみられる形状が、爪先が上に反りあがった靴やサンダルです。ローマでも南米でも西アジアでも中国でもエジプトでもなぜか必ず存在します。
理由のひとつとしては、恐らくですが権威の象徴だと思うのですが、履物として歩くときのローリング作用を出しやすくする役割もあったのではと思います。
文献があるわけではないので、誰か解明してくれませんかと思いつつ、自分なりの答えとしてこの二つのイメージを具現化した形です。
どんな民族テイストの衣装にも合わせることができる自負があります。
ちなみに天先は天に向かって反り上がるイメージから僕が名づけました。






つくりて野島は独立前に婦人靴のメーカーに勤めていました。百貨店の靴売り場で何百と並ぶ靴達。そのうち15ブランドほどを手がけているメーカーでした。
毎シーズン靴型を何十と作り、サンプルを作り、採用された靴型は各サイズ作られ、大量に生産されていく。そんなメーカーだったのですが、前に使われた靴型はよほどの大ヒットでない限り二度と使用されず、倉庫にしまわれ、入りきらなくなると夢の島に放り投げられる・・・




靴型は量産されるときに合成プラスチックを使用します。
恐らく最初はコスト削減や、リサイクルの精神があったのではと思うのですが、この靴型に使用することが最終段階のようで、もう使わなくなると捨てるしかないと先輩に告げられました。



どうしてもそれが僕の中で消化しきれず、独立してから絶対に靴型は捨てない!と固く誓い靴型をむやみに増やさないスタイルでやっています。



たった4型で今50デザイン以上作ってるのは実はこういう理由でした。
お客様にはこういう形があったらいいのにとか、もうちょっとシャープな靴型作って欲しいなと言われることもあるのですが、僕の中で納得できるまで考えさせてください。いつか作るかもしれません。






なかなかスタイルを変化させないのでもどかしさを感じるお客様もおられると思いますが、どうかご容赦くださいませ。僕自身が納得して製作に取り掛かるというのも吉靴房のあり方と思っていただければ幸いです。



今後ともどうぞよろしくお願いします!




















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