「靴を作るが靴職人と呼ばれるのはちょっと・・・」つくりて野島と新人マキコのブログ

京都の手作り靴工房「吉靴房」で毎日手作りで靴を作る日々。 そして靴以外にも好きなものがあり、製作の合間の出来事も赤裸々に綴っていきます。 基本的にインドアなので、漫画、ゲーム、歴史、科学などなど。 靴作りと好きなことを中心に毎日更新します。 このブログは靴のつくりて野島とこれから初めて靴作りを学ぶ新人マキコの2人でお届けします。

タグ:ひとえモカ

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『お知らせ』
現在のオーダーメイド完成予定時期は
7月末完成、8月初旬お届け予定となっております。
どうぞよろしくお願いいたします。

オーダー方法についてはこちらをご覧くださいませ。
http://kikkabo.livedoor.blog/archives/cat_323072.html


靴磨きも承っております。是非ご利用くださいませ。
http://kikkabo.livedoor.blog/archives/22615170.html
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こんばんは。野島です。

昨日はひとえモカの製作を進めました。


かなり特殊な作り方なので、他の靴とは別に進めています。

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完全に一枚革で踵部のみ縫うブーツなので、先に貼り合わせ部分を削ったり、オイルを塗ったり下拵えをします。


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紐通し部分を折り曲げます。
気をつけないと革が割れたりするので慎重に作業します。


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踵後ろのラインを縫い割りしたら、踵パーツを貼ります。

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ここは手縫いするので、台金を使って入念に叩きます。

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縫い目が綺麗に仕上がるように手縫いを施します。


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手縫いの穴は定規やコンパスを使わずにやるのが僕のスタイルです。


手縫いの柔らかさを出す為にあくまで目の感覚で穴をあけて縫い上げます。
コンパスを使ったり、定規を使うと綺麗にはなりますが、手作業独特の顔つきにならないからです。


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手縫いはいつもの相棒手縫いセットで。



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ものすごく硬く分厚い革を使っているので、全体を濡らしてから釣り込みます。


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硬いので釘で靴型に留めていきます。


この釘は後で全て抜きます。
固定して形状記憶させるための釘留めです。


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釣り込みが終わりました。

今回はなかなか苦戦しましたが、なんとかまとめられました。



全体をぬらしているので、つま先のたくさん引っ張られている部分はもう乾き始めていますね。


丸1日以上かけて完全に乾かしてから次の作業に進む予定です。




月末に近づいてきたのでどんどん作業を進めたいと思います。


それではまた明日。


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どうぞよろしくお願いします。
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4月17日~代官山ぎゃらりー無垢里
上記日程で予定していた個展は新型コロナウイルスの影響により
延期させていただくことといたしました。
ご予定くださった方には大変申し訳ございませんが、
次回開催予定は6月26日(金)~6月30日(火)となります。
どうぞよろしくお願いいたします。
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こんばんは。野島です。


今日は二鳥履き 蘭(にちょうばき らん)というデザインについて書いていきます。






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このデザインは先日紹介した逃現郷(とうげんきょう)のマスターからの依頼で作りました。

依頼はこうです。

「お店の2階に倉庫があって、そこは靴を脱いで上がります。でも普段はバイクに乗って買出しに出たりするので、すぐ脱げてバイクでも問題ないデザインはできないだろうか。」





このご依頼の趣旨は日本での生活に直結する部分があると思いました。
そこで、バイクに乗るときだけ踵部を立ち上げてもらうサボはどうでしょうと提案させていただきました。





喫茶店という立ち仕事なので足のむくみを含む変化が大きいと思ったので、サボでも紐付の形にして、普段はサボにしていつでもすぐ脱ぎ履きできる。そんなデザインにしました。



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名前の二鳥は一石二鳥のから取りました。
うまく機会を捉えるという意味をこめています。

蘭は木靴で有名なオランダからイメージしています。


本体は裏革なしで製作しています。
この革はうちでメインで使っている革より厚く、最初はやや固めの印象ですが、オイルを塗りつつ使い込んでいただくと非常にしなやかな柔らかさが出てくる革です。
割とビビットなカラーがあるのも特徴です。
こちらから革見本をご覧ください。
ひとえモカで使う革と同じものです。


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全体を黒単色でご注文いただいたこともあります。
これも素敵な雰囲気になりました。



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踵部を最初からなしにすることもできます。


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これはいとこの出産祝いに製作したものです。
小さなお子さんがいるお母さんの味方になれる靴は、脱ぎ履きにストレスのないサボ型がいいかなと思い作りました。

画像のものは実は裏革付きで作っています。
こういうこともできますので、何でもお気軽にお問い合わせくださいませ。





二鳥履き 蘭

























こんばんは。野島です。

モカシンという靴をご存知の方は多いと思います。靴の構造のことを指す場合と、スタイルというか形状を指す場合とありますが、足全体をくるんだ靴の起源とされています。

1万4000年前に現れたとする説もあるほど古くからありますが、最も有名なものはネイティブアメリカンのモカシンではないかなと思います。





基本的に足を一枚の革でくるむ袋状の構造になっていて、フリンジやビーズなどで装飾を施し、いろいろな用途で使われていました。現在も使われていると思います。





一枚でくるむ形状ということに着目し、機械では作れないであろう形を目指して作ったのが「ひとえモカ」です。ひとえは正に一枚の革を表しています。



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爪先から踵まで完全に一枚で、縫い目は踵の縫い割りのみで構成されているブーツは、世の中にほとんどないと思います。
手仕事だからこそできる珍しい形です。



踵部に手縫いで縫い付けてある部分は、踵の保護と履き心地の向上を目的として革で、月型(かかと芯)の役割があります。




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普段吉靴房で使っているメインの素材より1mm以上厚い、約2.6mmの分厚く硬い革で作ってあります。




この靴を作った時のキャッチコピーは「育てる靴」


わざと分厚く硬い革を使い、最初は本当に硬くてたまに痛いこともあるほどです。しかし、ミンクオイルを塗りこみながら少しずつ使っていただくとしなやかで柔らかい本当に履き心地が良くなる革を使っています。



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この画像は僕が1年以上履いたものです。ものすごく柔らかくなっていますので、工房にお越しいただいたら是非ご覧頂きたいものです。

確かにお時間がかかりますが、その分愛着がわくこと間違いなしです。


本体(アッパー)が硬い分、柔らかいインソールを標準装備しています。







それともうひとつ、先ほどのたくさん履いた靴の画像は爪先に飾りがついています。
これは「ひとえモカ先オパ」というデザインです。



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先オパの先は爪先、オパは靴の製法のひとつで、オパンカやオパンケと呼ばれる製法をモデルに掬い縫いをしています。

印象が変わって爪先も更に保護してくれるのでこちらも人気です。




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完全に単色で作るのもかっこいいですね。
こちらはアメリカ人のタトゥアーティストの方が来日してご注文くださった作品です。





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掬い針でこのように穴を開けてから


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このように縫っていきます。

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ほんの少しのミスで一から作り直しになってしまう作業なので緊張感があります。



「ひとえモカ」と「ひとえモカ先オパ」是非手にとってご覧くださいませ。




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