こんばんは。野島です。



吉靴房の中で草履型の鼻緒サンダルは特別なものです。
そもそも独立前から作っていたものということもありますが、僕自身が子供の頃から最も気に入って履いていた履物だったというのが一番大きな理由です。




覚えている限りでは小学生の頃、靴の脱ぎ履きが面倒で、どこに行くにもゴム草履を履いていたこと。
夏の朝、岩城神社でのトレーニングにスニーカーではなくゴム草履を履いて行き、先生にも同期にも笑われたこと。


こんな思い出を書いているときに出てくるゴム草履は常に「じょんじょん」と呼んでいました。

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今思えば静岡はゴム草履の生産地として有名ですし、そもそも駿河の下駄の生産地としても有名です。


でも僕の地元ではぞうりのことを「じょんじょん」と呼んでいました。
同郷のみなさんそうでしたよね?






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この作品は地元でのこの呼び名から付けました。
吉靴房10周年のときのことです。






面白いもので今でもぞうりのことをじょうりと呼ぶ地域が全国に多くあります。
特に年配の方でじょうりと呼ぶ方が多いはずです。





潮田鉄雄著
ものと人間の文化史8「はきもの」にもその分布図が描かれていますが、全国各地、特に都会から少し離れた地域に多く残っています。




ただ、このじょうりという呼び方、軽率にぞうりの訛りと断言をしてしまうことは出来ません。




平安時代のから残る文献に、草履と浄履(じょうり)と両方見られるからです。
室町時代にも江戸時代にも両方文献が残っています。


僕の仮説ですが、日本における履物は、結界を出るものという意味合いもあることから、浄化するための履物という意味があって、この呼び名がついたのではと思っています。



藁草履と同じ素材の注連縄も結界の役割を持っています。
いかがですか?考えさせられますよね。



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このようなことに思いを馳せながら、このデザインは10周年記念作品として作り上げました。






革で履物を作る。
革で下駄を作る。
そして革でぞうりを作る。




つくりて野島としてはとても自然で、どうしても作りたかったデザインです。





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革下駄ですとボリュームがあって敬遠されていたお客様もこちらのじょんじょんは大変気に入っていただいております。



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細身のシルエットのボトムから太めのシルエットまで非常に相性が良いです。




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是非一度お試しくださいませ。