「靴を作るが靴職人と呼ばれるのはちょっと・・・」つくりて野島と新人マキコのブログ

京都の手作り靴工房「吉靴房」で毎日手作りで靴を作る日々。 そして靴以外にも好きなものがあり、製作の合間の出来事も赤裸々に綴っていきます。 基本的にインドアなので、漫画、ゲーム、歴史、科学などなど。 靴作りと好きなことを中心に毎日更新します。 このブログは靴のつくりて野島とこれから初めて靴作りを学ぶ新人マキコの2人でお届けします。

カテゴリ: > 稽靴(けいか)オリジナルデザイン靴カテゴリー

こんばんは。野島です。


吉靴房の革靴製作教室では、吉靴房のデザインをそのまま作ることもできます。
今日の教室で完成した作品はくしゅくしゅブーツという作品です。



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ダークブラウンで纏めてシックですが、可愛い雰囲気にできあがりました!
生徒さんのキャラに合っていてすごくお似合いでした。



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履くことでくしゅっとした皺がもっといい感じに出てきますのでたくさん履いていただければ嬉しいです。





さてくしゅくしゅブーツは革靴としてはちょっと珍しいデザインです。
靴は歩行する為の道具ですので、履いて歩くことで道具としての意味を持ちます。

このデザインは足を入れることでそのデザインが完成するという形状をしています。



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足を入れていない状態では、上の画像のようにシワ感があまりありません。

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足を入れるとこのようにいい感じのシワがでてきます。
履くことでデザインが完成するとはこのことをいいます。



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オブリーク型のみで展開していますが、マッケイ式とステッチダウン式の両方から選んでいただけます。


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全体を落ち着いた色にしても踵部分の色だけ変えるとまた違った雰囲気になりますね。
様々な色でご注文いただいているのでいつも完成が楽しみなデザインです。



比較的柔らかい一枚革でできているので、履くときにちょっとしたコツがいるのですが、履き心地が革靴というカテゴリーでは滅多に無い柔らかさです。




関西のお客様と比べると圧倒的に東京のお客様からのご注文が多いというのも特徴だと思います。
デザインによって地域性があるのは非常に興味深いです。





シワのあるデザインは10年周期くらいでいろいろなデザインが世の中に出てきますが、これは流行に左右されにくいデザインとなっております。


個展や催事にも持っていくことが多いので是非お試しくださいませ。




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こんばんは。野島です。


今日はシンプルなサボのデザインである「クロンプ」の紹介です。

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このようなデザインの名前は一般的にサボと呼ばれたり、クロッグサンダルと呼ばれることが多いと思います。

サボとはSabot
フランス語で木靴を意味します。



ちなみにサボタージュという言葉は労働争議的破壊活動という感じの意味ですが、そもそも木靴で労働機材などを破壊したことに由来するようです。

日本語の「サボる」の語源でもあるようです。



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木靴はオランダのものが有名なイメージですが、ヨーロッパ各地で伝統的な履物としていろいろな種類があります。


英語でCLOG
オランダ語でKLOMP

と呼ばれます。



僕自身最初に触れた木靴がオランダのものだったので、このデザインの名前をクロンプとしました。


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基本的に甲革は一枚革でできていて、裏革付き。
吉靴房では履き口をフクロ折りで製作しております。




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シンプルなデザインなので、上記のようなミッドソール部分だけ違う色にすると個性がでますね。
(お問い合わせくださいませ)




サボ型は日本の脱ぎ履きの多い生活事情に非常に合っています。



頻繁に脱ぎ履きをする日本の生活では脱げにくく、履き心地が靴に近く、足の踵以外をほぼサポートしているデザインはもっと履かれていてもいいような気がします。



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お客様のご希望により踏みつけ踵を装着することもできます。


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コロンとして可愛い形で、ボリュームのあるボトムに相性が良いですが、お客様はいつもつくりての遥か上を行くコーディネイトをされているのでいつもなるほど~と感心します。



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お客様のご要望によっては履き口に切り替えのデザインを入れたり、

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爪先に切り替えを入れたりとシンプルなデザインなのでオリジナル要素を実現可能です。





いかがでしょうか。
非常に使い勝手の良いシンプルさと、日本の生活スタイルに合うデザインのクロンプ。
是非お試しくださいませ。

























こんばんは。野島です。



映画キングダムがなんと興行収入40億円を突破したそうです。(興行通信社調べ)
観客動員数も300万人を超えたとか。すごいですね。少しでも関わることができたことを誇りに思います。とても面白かったのでまだご覧になっていない方は是非是非。




さて、このキングダムではSOU・SOUさんからご依頼いただきこのようなデザインの靴を製作いたしました。


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SOU・SOUさんのブログで紹介していただいた記事がこちら






このデザインですが、若林社長と企画室の山本さんからイメージとアドバイスをいただいて、まずデザイン画を描いたのですが、僕が描くデザイン画にしては珍しく、どうやって作るかをイメージするより先に画ができてしまいました。


僕は先にイメージの中で最初から仕上げの最後まで出来上がりまでの道のりを考えてから画を描き始めるのですが、今回はお話を伺ってからそのテンションのまま描いたという感じです。






幸いいろいろ考えた末、問題なく進められましたが、いつもとちょっと勝手が違うデザインとなったので、この製法を何かに活かすことができないかなと考えて作ったのが「みかがみ」です。

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映画用では時代が古いので、革の紐でくくるという形にしたのですが、その頃ベルクロのご希望をちょくちょくいただいていたのもあって、ずっと作りたかったという想いとこの普段と違う作り方をしたことがちょうどうまくリンクして、キングダムで使った製法をわからないように違う形状にしてみようと思って作りました。


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ブーツだったのを短靴に変更。靴型も親しみやすいラウンド型とオブリーク型に変更。
ミッドソールを吉靴房式に変更。そしてベルクロに変更といった具合です。




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ベルクロを使用したことにより、少し身を屈めてスッと履けるデザインとなりました。
これがデザイン名のみかがみの語源になります。





少しの変更で随分イメージが変わったと思います。
こういう発想のお仕事もとても楽しいです。




楽しいとどんどん仕事が進みますね。お客様やお取引様のおかげで本当に幸せな毎日だなあと思っています。
新しい靴型に挑戦していますが、これも楽しみながら頑張っていきたいと思います!
























こんばんは。野島です。


今日は二鳥履き 蘭(にちょうばき らん)というデザインについて書いていきます。






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このデザインは先日紹介した逃現郷(とうげんきょう)のマスターからの依頼で作りました。

依頼はこうです。

「お店の2階に倉庫があって、そこは靴を脱いで上がります。でも普段はバイクに乗って買出しに出たりするので、すぐ脱げてバイクでも問題ないデザインはできないだろうか。」





このご依頼の趣旨は日本での生活に直結する部分があると思いました。
そこで、バイクに乗るときだけ踵部を立ち上げてもらうサボはどうでしょうと提案させていただきました。





喫茶店という立ち仕事なので足のむくみを含む変化が大きいと思ったので、サボでも紐付の形にして、普段はサボにしていつでもすぐ脱ぎ履きできる。そんなデザインにしました。



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名前の二鳥は一石二鳥のから取りました。
うまく機会を捉えるという意味をこめています。

蘭は木靴で有名なオランダからイメージしています。


本体は裏革なしで製作しています。
この革はうちでメインで使っている革より厚く、最初はやや固めの印象ですが、オイルを塗りつつ使い込んでいただくと非常にしなやかな柔らかさが出てくる革です。
割とビビットなカラーがあるのも特徴です。
こちらから革見本をご覧ください。
ひとえモカで使う革と同じものです。


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全体を黒単色でご注文いただいたこともあります。
これも素敵な雰囲気になりました。



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踵部を最初からなしにすることもできます。


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これはいとこの出産祝いに製作したものです。
小さなお子さんがいるお母さんの味方になれる靴は、脱ぎ履きにストレスのないサボ型がいいかなと思い作りました。

画像のものは実は裏革付きで作っています。
こういうこともできますので、何でもお気軽にお問い合わせくださいませ。





二鳥履き 蘭

























こんばんは。野島です。


今日は漉き機のお手入れをしました。
もともと独立直前に中古で買った漉き機を、かれこれ12年以上使っています。




掃除はもちろん、刃や砥石の交換など定期的にいろいろ手をかけるのですが、今日は初めて送りロールの交換をしました。




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革漉き機は左から右に革が運ばれ、その動きの最中に革の端を削ぐようにして厚みを調節します。
右に運ぶ回転するゴムのパーツが送りロールといい、これも長年使うことで磨耗していきます。



実は2年位前から交換をどうしようかな~と検討していましたが、なんとか整備しながら使い、ついにどうにもならないところまできたので交換に踏み切りました。


上記の画像を見てもらうと一目瞭然。左がずっと使っていたもの、右が新品です。
大きさが全然違いますね。





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送りロールを外した状態がこの画像です。



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これはちょっと上からの画像。
回転する刃が剥き出しでちょっと怖いので、慎重に交換します。



刃に対してギリギリの距離と角度に調整して、油を入れて潤滑にし、再び元に戻しました。



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今日から今月分のオーダーのお品物を全部漉きをし始めています。
12年交換していなかった送りが変わったので、感覚が少し違うので、そのあたりを体感的に修正したり、微調整したりして進めています。


教室でも生徒さんに使ってもらうので、ちゃんと説明して怪我と失敗のないように進められるようにしていきます。





さて、そういうお手入れをしつつ、新作が完成しました。



名前は「挿げ羽根短靴」

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画像では少しわかりにくいかもしれませんが、一枚目の画像と二枚目の画像で、内側の羽根が替わっています。
ギボシという金具で付け替え可能な羽根になっています。




本体は大きな一枚のヌメ革でできていて、踵部を除くと一箇所縫うだけで製甲ができますが、踵の補強のためと色で楽しんでいただけるように、踵には別の革を選んでいただけるようなデザインにしました。



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鼻緒を挿げる、人形の頭を挿げ替えるという言葉から、挿げ羽根と命名しました。
ブーツも作りたくなってきました!






次の展示でお披露目しますので、是非お越しくださいませ。












こんばんは。野島です。

モカシンという靴をご存知の方は多いと思います。靴の構造のことを指す場合と、スタイルというか形状を指す場合とありますが、足全体をくるんだ靴の起源とされています。

1万4000年前に現れたとする説もあるほど古くからありますが、最も有名なものはネイティブアメリカンのモカシンではないかなと思います。





基本的に足を一枚の革でくるむ袋状の構造になっていて、フリンジやビーズなどで装飾を施し、いろいろな用途で使われていました。現在も使われていると思います。





一枚でくるむ形状ということに着目し、機械では作れないであろう形を目指して作ったのが「ひとえモカ」です。ひとえは正に一枚の革を表しています。



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爪先から踵まで完全に一枚で、縫い目は踵の縫い割りのみで構成されているブーツは、世の中にほとんどないと思います。
手仕事だからこそできる珍しい形です。



踵部に手縫いで縫い付けてある部分は、踵の保護と履き心地の向上を目的として革で、月型(かかと芯)の役割があります。




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普段吉靴房で使っているメインの素材より1mm以上厚い、約2.6mmの分厚く硬い革で作ってあります。




この靴を作った時のキャッチコピーは「育てる靴」


わざと分厚く硬い革を使い、最初は本当に硬くてたまに痛いこともあるほどです。しかし、ミンクオイルを塗りこみながら少しずつ使っていただくとしなやかで柔らかい本当に履き心地が良くなる革を使っています。



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この画像は僕が1年以上履いたものです。ものすごく柔らかくなっていますので、工房にお越しいただいたら是非ご覧頂きたいものです。

確かにお時間がかかりますが、その分愛着がわくこと間違いなしです。


本体(アッパー)が硬い分、柔らかいインソールを標準装備しています。







それともうひとつ、先ほどのたくさん履いた靴の画像は爪先に飾りがついています。
これは「ひとえモカ先オパ」というデザインです。



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先オパの先は爪先、オパは靴の製法のひとつで、オパンカやオパンケと呼ばれる製法をモデルに掬い縫いをしています。

印象が変わって爪先も更に保護してくれるのでこちらも人気です。




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完全に単色で作るのもかっこいいですね。
こちらはアメリカ人のタトゥアーティストの方が来日してご注文くださった作品です。





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掬い針でこのように穴を開けてから


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このように縫っていきます。

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ほんの少しのミスで一から作り直しになってしまう作業なので緊張感があります。



「ひとえモカ」と「ひとえモカ先オパ」是非手にとってご覧くださいませ。




こんばんは、野島です。
2月末完成予定分が全て完成し、発送の手配まで完了致しました。
大変お待たせいたしました。



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毎月色々な工程を経て月末に収束してそれぞれの形に仕上がり、箱入れ直前の上記の画像のように並べるときはニコニコしてしまいます。幸せです。ありがとうございます!






今日は「ヌメの外羽根」の解説です。

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吉靴房を立ち上げる直前に、今も毎年お世話になっている代官山のぎゃらりー無垢里で初めて個展を開きました。(今年も4月12日~17日の期間に個展をします)
その為に作った靴型がオブリーク型のもので、その最初のデザインがヌメの外羽根です。




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このデザインにたどり着いたポイントは3つありました。

●ヌメ革を羽根(紐通し部)につかうこと
●当時初めて買ったカシメ(留め金具)を使いたいということ
●羽根を開いた時に隙間ができないようにすること



ヌメ革は吉靴房のメイン素材で分厚くて丈夫なので紐通しに使え、他で見ない表情にできると考えたので、この形に決まるまでに何度も何度も大きさや形を試作しました。

カシメは革作品を作るときによく使われるものですが、ミシンを使わず留められる便利なもので、これをデザインのひとつとして使いたいと考えて片面4つの印象的な使い方にしました。



隙間ができないようにというのは、実は当時通っていた美容院の担当の人が、髪の毛が入らない靴ってできないかな~と話していたのを思い出し、ゴミなどが入らない履物は必要だなと思ったので、くしゃっとつぶせるベロを縫い付けることで切込みがないデザインに仕上げました。

その際できるだけシンプルにしたいと思い完成した作品です。






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シンプルなので、全体に雨靴仕様のシリコンを塗り、水を弾く仕様にできます。





さんとのダブルネーム作品は抜染により個性的な素敵な表情に生まれ変わり、今も定番としてご注文いただけます。




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この蓮の柄は超お気に入りです!






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僕の中ではラウンドタイプはすごくお勧めで気に入っています。
スタッフの水谷は何度もソールを貼り替えて愛用しています。





シンプルですが、可愛い感じにも少し落ち着いた感じにもなるヌメの外羽根。
いかがでしょうか。





















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