今日は単皮(たび)の解説をしたいと思います。
こんばんは。野島です。




この商品は2011年京都デザイン賞SOU・SOUさんとのダブルネーム作品として出展し、入選いたしました。
当時まだまだ足袋の革靴なんて誰が買うの??なんてコメントをたくさんもらっていた頃だったので、入選という栄誉をいただきとても嬉しかったことを覚えています。




胡粉色
kichitabi00単皮 白



この靴に「単皮」と名付けたのは
①足袋型であること
②革製であること
③靴の基本要素を備えていること
以上の理由からです。





日本だからこそ誕生すべきデザインは何かと考えたとき、地下足袋と革靴を融合させることでこれまでになかった形が出来上がりました。


濡羽色
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靴の定義をあえて語れば、足を包む形で歩行に使う道具であり、靴底を備えていること。
爪先と踵と踏まず部に芯が入っているものを言います。
その中で最もフォーマルなものは黒の内羽根と呼ばれる短靴です。





足袋とは草履、下駄、雪駄などを履く際に用いるため、親指と人差し指で袋が二つに分かれているものを言います。

今では布製がほとんどですが、江戸時代初期までは革製が主でした。
「皮足袋」は武士を中心に合戦や鷹狩りなどに履かれていましたが、戦乱が収まるにつれて平時でも着用されるようになりました。


布製の普及で姿を消してしまいましたが、革靴屋こそが「革足袋」を作るべきだと思い製作しました。





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紐通し部分は五枚丈のところでも解説したわらじから着想を得た形状をしています。






靴の一番基本型といえる内羽根短靴と足袋の要素を兼ね備えたこの作品は、
伝統に新しい正装を提案したいという僕の出すぎた行為の第一歩というべきデザインです。






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おまけ


足袋を調べてみると、文献上平安時代から見ることができます。
その漢字は

「単皮」
「多鼻」
「旅」
「踏皮」
「足袋」

とたくさんあります。




日本人にとって身近で大切なモノであるとあらためて感じました。













いかがでしたでしょうか。
多鼻と書いた人はなかなか面白い発想を持ってるなと思いました。


是非一度「単皮」お試しください。